必死にペダルをこいだから 30分くらいでお姉さんの家に着いた
私はすぐにチャイムを鳴らした
するとカチャッと音がしてドアが開いた
「お姉さ…!」
ドアが開いて目の前にいたのはお姉さんじゃなく あの時も会った
お姉さんの会社の女の人だった…
「あ…夏美ちゃん…」
私は動揺した お姉さんしか居ないと思っていたから…

仕事の話をしていたのかな…
それとも風邪だと聞いてきたのかな…色々な考えが頭をよぎった
「あの!春香さんいますか」
私はなんとなく動揺したと思われたくなくて…平常を装った
「なにか用なの?用がないなら帰ってくれる?」
ーー!? 私はその言葉に耳を疑った、、、まるで私を威嚇しているような…
とても怖い目で 私を睨んでくる
ーー怖いーー
何でそんな・・・もしかして、この人はお姉さんのことが好きなの、、、
「あ、あの・・・その」 私はその女の人に圧倒されてしまって言葉が出てこない
「ちょっと 何してるの?」奥からお姉さんの声が聞こえた
「あれ!夏美来てくれたの〜?おいで!」
私はお姉さんの顔を見たとたん なんでだろう・・・何故か涙があふれ出してしまった
そしてお姉さんに抱きついた・・・
「あれれ夏美どうしちゃったの よしよし」
お姉さんの匂いに安心して…ますます涙がでてしまう 
細くて壊れそうなお姉さん… 
だけど、とても大きく感じた
「ちょっと 香織?いじめたんじゃないでしょうね?」
香織とは その嫌な女の名前らしぃ
「まさか そんなわけないでしょ?」
ーーこの人…絶対私を嫌っている 
「大丈夫・・夏美?意地悪なおばちゃんはもぅ帰るから 泣かないで ねっ?」
「う、うん」 
「ちょっと、誰がおばちゃんよ?」
お姉さんは 私を抱いたまま中に入り 私をソファーに座らせてくれた
やっと気持ちが落ち着いてきた私に暖かいココアを入れてくれた
そして、私の隣に座ると優しく頭を「よしよし」と言いながらなでてくれていた
私の目の前には香織さんが座っていた
そんな光景を目の前にしながらクールにコーヒーを飲んでいる
きっと焼もちを妬いているはず、、、それなのに平気な振りをしているんだ…!
お姉さんは香織さんの気持ちに気づいていないのかな…そんなはずない
鈍感なわけじゃないし気づいているのに気づいていない振りをしているのかもしれない
「夏美?落ち着いた?」
「うん ごめんなさい泣いちゃって、、、」
「ホントよ、私が悪者みたいになっちゃったじゃない!?」
「やれやれ…」 お姉さんは呆れたようにつぶやいた
「あっ!お姉さん 風邪大丈夫なんですか?」
「大丈夫、心配して来てくれんたんだよね ありがとうね」
お姉さんは優しい笑顔で言った
「そうだ 夏美に合い鍵渡しておくね いつ来てもいいように」
「えぇ!そんな合い鍵だなんていんですか?」
「じゃ、いらない?」 っと、わざと意地悪な事を言ってきた
「えぇ!!欲しいです、、、」
お姉さんは嬉しそうに笑った


(着信音)あこがれより〜♪あこがれいじょうの〜〜〜〜♪
「あっ!お母さんから電話だぁ!ちょっと、ごめんなさい」

母>ちょっと!帰りが遅いじゃないの どこにいるの??
私>え? 友達のところって言ったじゃん
私は”友達”っと言った事をいってすぐに後悔した
お姉さんの顔をチラッと見ると 俯いていたのだ…
母>いいから早く帰って来なさい もう外は真っ暗でしょ!
私>わかったよ・・・
プーッ・・プッー・・・

「お母さん?」
「うん 早く帰れって…」
「そっか、、、こんな夜まで娘が外で遊んでいたら心配するよね…」
「あの…」
「なに?」
「あぁぁ!?もしかして”友達”って言ったこと申し訳ないとか思ってる??」
お姉さんは微笑みながら 私の顔を覗き込んだ
「ズボシかっ、そんな事気にするわけないでしょ 誰でも言い訳に使うよ」
「あのぉ〜〜〜〜〜!!私の存在忘れてませんか?」
「・・・」
「・・・」
「ごめん ごめん」すっかり私もお姉さんも 香織さんを忘れてしまっていた…
「それじゃ 車で送るよ 夏美」
「今日は自転車できたから 大丈夫!
それに風邪のお姉さんは外に出ないほうがいいです!大人しく寝ていてくださいね?」
「わかったよ 夏美 ありがとうね」
「それじゃ私も帰るわぁ」
「二人とも 心配してくれてありがとう 
気をつけて帰ってよ?夏美は家に付いたら メールしてね」
「えぇ〜私のメールはいらないわけ…?」
「はい、はい、香織もメールしてね」 お姉さんは また呆れたように言った
私はちょっと冷たくしすぎじゃなかなと思ったけど
二人にとっては これがコミュニケーションなのかなとも思って、少し羨ましくも感じてしまった

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