今日は土曜日で学校が休み
私は服を買いに行こうと前々から計画していた
いつもは友達と行くけど…
ゆっくり選べないし 結局は遊び優先になってしまうから 一人で出掛けることにした
町まではいつも自転車かバスで行っているけど
今日は荷物が多くなると思うから…バスでいこうかな
「お母さん 町まで遊びにいってくるね」
「夏美も一緒にくればいいのに・・・ねぇお父さん」 
今日、お母さんとお父さん、そしておばぁちゃんは二泊三日の温泉旅行に行く
私は温泉なんて嫌いだから一人だけお留守番することになっていた
「しっかり留守番してるんだぞぉ?誰もいないからって夜中まで遊んでたらダメだからな」
もちろん、夜中までブラブラするつもりだ
「わかった、しっかり留守番しとくね〜じゃバス来ちゃうし行くよ?」
「いってらっしゃい」


あぁ〜ぁ、出掛ける前に 余計な話するからバスに間に合わないかも・・!
私は小走りでバス停まで急いだ
あ・・・バスが来てる、ヤバイ!まだバス停までは距離がある。
お願いだからまだ停車していて
「・・・・・・・」
無情にもバスは発車してしまった
あぁ…20分も待たなきゃいけないや そぅ思いながらバス停までトボトボと歩いていた


「ねぇ、そこの子 バスに乗り遅れたの?」 いきなり話しかけられて驚いた
私の隣に車をつけて 女の人が話しかけている…
「えっ・・・あの・・・そうなんです」
「乗せてあげるよ 町までいくのかな?」 
どうしよう・・・私は迷った、見ず知らずの人に車に乗せてもらうなんて…
「いえ 大丈夫です20分も待てば バス来ますから」
「遠慮しなくていいから 私も町まで行く所だったんだよ?」
そのお姉さんは、優しそうに微笑みながら ドアを開け 私を乗るように急かした。
この状況じゃ 断れない、、、だけど女の人なら そんなに心配する必要もないかな
「それじゃ・・・お言葉に甘えさせていただきます」 
そぅ言ってから私は助手席に乗り込んだ
「礼儀正しいのね 今時の子とは思えないね」
私はその時 初めてハッキリとお姉さんの顔をみて驚いた
ものすごい美人、見た目は29歳くらいに見える。秘書か・・・医療事務さんか・・・先生?
そんな大人のお姉さんだった
車の事はよくわからないけど この車って高級車だ、、、そんな感じがする
「どこに行くつもりだったの?」
「服を買いに行ってから フラフラ遊ぼうかなと思って」
「そっか〜。若いときは友達と遊ぶことが楽しいのよね」
「でも・・・今日は一人でフラフラしようと思ってるんです」
「え・・・どうして?」 お姉さんは 心配そんな顔でみつめている
「んーーなんとなく一人のがいいかなって」
そう答えると しばらく考えている様子だった
もしかして、友達のいない寂しい子供だと思われちゃったかな…。
「あのねぇ、私。今日すごく暇で 一緒に行ってもいいかな?」
え・・!ちょっと、、、どうしよう。思いもよらない事を言われて 驚いた
「迷惑かな…」 
「そんな!迷惑だなんて 私、姉妹いないからお姉さんと過ごせたら ホントに嬉しい」

ーーあれ!お姉さん笑ってる…。
「あっ・・・ごめんね 笑っちゃって。悪気はないのよ、ホントにごめんね
ただ・・・可愛いなと思って」
私は照れてしまった
子供扱いされてるのは少し頭にきちゃうけど…。
昔からお姉ちゃんが欲しくて、こんな風に会話してみたかったから、、、
「えっ・・・そんなことないです!」
少し照れながらそう言うと、お姉さんは優しい瞳でみつめてくれた
「そうだ・・・名前聞いてなかったよね?」
「夏美っていいます!夏美って呼んでください!」
「名前も可愛いのね・・・夏美ちゃん」
顔が赤くなる、名前を呼ばれて恥ずかしくて お姉さんの顔がみれないくらいだった
心臓もドキドキ・・・お姉さんは照れることばっかり言ってきた
「お、お姉さんの名前は?」照れをごまかして 質問した
「春香だよ、でもお姉さんでもいいよ」
「それじゃ・・・春香お姉さん?」

ーーあぁぁぁ!またお姉さんは笑った。
「夏美ちゃん お姉さんだけでいいよ お姉さん恥ずかしくなっちゃうから」
本当に恥ずかしそうにそう言った
確かに言った私も ものすごく恥ずかしかった…!

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